開拓社 言語・文化選書18
ことばから文化へ
― 文化がことばの中で息を潜めている ―
編著者:
安井 泉 (著)
ISBNコード:
978-4-7589-2518-1
発売日:
2010年6月12日
定価:
1,980円(税込)(四六・240頁) |
内容
言語文化研究の視点から具体的な例を豊富に取り上げ、「文化の中で息づいていることば」のあるがままの姿と向き合い「人間の認識の様式」を探ることを試みる。ことばの中に潜んでいる文化を探り出す作業を続けながら、豊潤なことばの世界を楽しむことにしたい。本書と出会った読者は、workaholic(仕事中毒)ならぬwordaholic(ことば中毒)にならないようにご用心いただきたい。
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目次
はしがき
第1章 言語文化研究への扉
1 人文学としての言語文化研究
2 言語文化研究
3 生きていることばと向き合う
第2章 レトリックの世界
1 レトリックの変遷
2 文体の発生
3 メタファー(metaphor)
(1) メロンパンにメロンは入っているのか
(2) 日常はメタファーであふれている
(3) メタファーでは何に喩えられるか
(4) メタファーとしての共感覚
(5) イディオムにみるメタファー
(6) 助数詞にみるメタファー
(7) メタファーの限界
4 メトニミー(metonymy)
(1) 空間の隣接に基づくメトニミー
(2) 時間の隣接に基づくメトニミー
(3) 概念の隣接に基づくメトニミー
(4) 日常のことばを支えるメトニミー
5 シネクドキ(synecdoche)
(1) 日常のシネクドキ
(2) 漢字の命名にみるシネクドキ
(3) 「核心隠し」としてのシネクドキ
(4) ポリティカリ・コレクト
6 命名のレトリック
(1) 自然界の命名
(2) コンピュータ用語
(3) あだ名,通称
(4) 料理の名前,肉の名前
(5) 地下鉄の路線名
7 それでも地球は動かない
8 見ざる,聞かざる,言わざる
第3章 人は時をどう語るのか
1 時間と空間
2 空間はどこまで時間の中に入り込むか
(1) 空間の世界における二点間の距離はいかに縮まるか
(2) 時間の世界における二点間の距離
3 時の動き方
(1) ディジタル時計とアナログ時計
(2) 時は過去に向かって動く
(3) 時との遭遇
(a) 前日、後日の言語学
(b) 先々と先月の言語学
(c) 先手、後手の言語学
(4) 時はまっすぐに動くのか
4 三次元空間の呪縛
第4章 ことばはあいまい
1 文脈の力
2 文化という文脈
3 変容するシネクドキ
第5章 ことばは文化を担う
1 「料理する」とcook
2 「かぎ」とkey, lock
3 ウィスキー
4 handkerchief
5 pork, beef
6 warm, hot, cool, cold
7 ネコに鰹節、catにmilk
8 犬猿の仲
9
10 cupとglass
11 water
12 corn
13 lemon
第6章 ことばは遊びたがる
1 語呂で遊ぶ
2 異分析で遊ぶ
(1) 異分析とは
(2) ことば遊びの中の異分析
3 当て字で遊ぶ、漢字で遊ぶ
4 ルイス・キャロルのことば遊び
5 かばん語
6 ひとひねりしてことばを遊ぶ
第7章 エピローグ
参照文献
索引