ラッセルの記述理論と諸問題
― 言語哲学の数学・言語学的基礎 ―
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編著者:
岩﨑永一 (著)
ISBNコード:
978-4-7589-2430-6
発売日:
2025年12月19日
定価:
4,620円(税込)(A5・272頁) |
内容
Russellの記述理論の意義と限界を解き明かす最新研究。合理論の立場から、言語哲学の問題を言語学的・文法的に分析する。意味論・語用論・統語論を多角的に論じ、日・英語の豊富な言語事実にもとづき綿密な論証を展開する。Russellの知識観とChomskyの言語獲得観、Fregeの述語論理、Russell・Strawson・Donnellanの論争、PutnamやKripkeの議論なども取り上げる。
目次
序章 Russell のアプリオリな知識から学ぶこと―言語処理・言語使用と経験論を超えて
0.1. Russellのアプリオリな知識観とChomskyの言語獲得モデル―言語の経験論の誤謬
0.2. Russellの記述理論と岩﨑の函数理論のtheの分析―エレベータのメタファー
第1章 決定詞句をめぐる幾つかの先行研究
1.1. 西山(2003)の「変項名詞句」
1.2. 岩﨑(2015)、岩﨑(2023)の理論
1.3. 生成文法における意味論
第2章 Russell(1905)の記述理論と岩﨑(2023)の函数理論
2.1. Russell(1905)の記述理論の諸特性と一意性の世界依存性
2.2. Russellの記述理論と岩﨑の函数理論の本質的差異
2.3. 記述理論関連の諸問題
2.4. [付録]記述理論における「ヨットの大きさ論争」と「一次的出現・二次的出現」の問題
第3章 Strawson(1950)のRussellの記述理論批判
3.1. RussellとStrawsonの論争の検証
3.2. 日常言語学派(の先駆け)の主張はどこまで妥当か
3.3. 「が」と「は」の問題から見たRussellとStrawsonの主張(阿部 2018)
第4章 Donnellan(1966)の挙げる諸問題
4.1. DonnellanによるRussellとStrawson批判
4.2. 当該対象が存在しない場合の確定記述句
4.3. [付録]変項xの取り得る範囲の制約と統語的補部
4.4. [付録]英語所有文とコピュラ文における冠詞のさらなる探究
第5章 変項と代入、そして、等号とは何か
5.1. 等価等号・同一性・代入
5.2. 代入推論・等価等号・代入
5.3. Russell(1905)における変項と等号
第6章 Russell(1905)と野矢(2023)と岩﨑(2015, 2023)のさらなる差異
6.1. 野矢(2023)のパラフレイズの曖昧性
6.2. 一意存在量化子・Iota演算子・岩﨑の函数理論との違い
6.3. 野矢(2023)のパラフレイズの精査再び
6.4. 一意性の担保:命題函数内か、あるいは、変項の個数か
6.5. Russellの記述理論が説明できない新しい言語事実
6.6. フランス南北朝の思考実験:Russell の記述理論と野矢のパラフレイズ
6.7. Russell(1905)に混在する2つの理論的立場:可能世界と記述理論
6.8. 検証主義の教訓
6.9. 総称のthe Penの説明可能性
6.10. 変化文(西山 2003)と Russell(1905)、野矢(2023)、岩﨑(2023)の説明可能性
6.11. [付録]量化子と束縛、別の可能世界
第7章 Fregeの述語論理の特性
7.1. Fregeの述語論理に見られる「主語・述語」という束縛
7.2. 「特性函数」と判別不能な叙述部分を含む「述語」かつ「函数」の場合
第8章 Frege のパズル・信念文と「意義」・代入推論
8.1. 信念文の補文における,Frege の「意義」
8.2. Frege のパズル―代入推論の阻止について
第9章 Russellの記述説の応用―固有名、個別言語、そして、Putnamの双子地球
9.1. 固有名をめぐるRussell,Searle,Kripkeの主張
9.2. GeorgeのChomsky擁護と個別言語・文法に関わる問題点再訪
9.3. Putnamの双子地球の思考実験―誤解、正当な批判、そして対案
9.4. [付録]「Wittgenstein のパラドックス」と言語の外在主義
第10章 Russellの記述理論と擬似分裂文・倒置コピュラ文
10.1. 擬似分裂文の解釈とRussellの記述理論の適用可能性と不可能性
10.2. 真正の分裂文読みの変項と変項の値の個数が要求する境界・個体性
10.3. 倒置コピュラ文における確定記述句の統語位置問題の再検討
10.4. 2つのタイプの指定文(西山2000)の意味論・統語論とRussellの記述理論
10.5. [付録]倒置コピュラ文における法助動詞・様相と解釈
第11章 西山理論は真理条件的意味論からどれほど自由か
11.1. 西山理論に見られる真理条件的意味論の影響
11.2. 西山理論と岩﨑(2023および本書) の差異
第12章 Russellの記述理論と多重世界
12.1. Russellの記述理論と量化子
12.2. 無限個の多重世界
12.3. 存在しない文の分析は可能か
終章 Russell(1912)に見られるプラトン主義的傾向


