言語研究の楽しさと楽しみ
― 伊藤たかね先生退職記念論文集 ―
編著者:
岡部玲子 八島 純 窪田悠介 磯野達也 (編)
ISBNコード:
978-4-7589-2300-2
発売日:
2021年3月22日
定価:
7,700円(税込)(A5・536頁) |
内容
東京大学大学院教授 伊藤たかね先生が2021年3月末で退職されることを記念し、長年にわたり先生と言語研究の楽しさと楽しみを共有してきた研究者、元指導学生、現役大学院生などによる46編の論文が収められた論文集。テーマは形態論、語彙意味論から統語論、心理言語学まで多岐にわたり、分析対象言語も日本語や英語にとどまらず中国語、韓国語、ドイツ語やスラヴ諸語と多様で、先生の研究教育領域の幅広さが反映されている。
目次
第I部 形態論
各活用タイプにおける動詞語幹末尾の母音の統一的分析
井川詩織
On Japanese Prenominal Modifiers
Ryo Otoguro
「目の薬」と「目薬」はどこが異なるのか―句と語の境界をめぐって―
島村礼子
分散形態論と語彙層を越えた異形態としての接辞
田川拓海
新古典複合語と連結形:-itisをめぐって
林 弘美
Wordhood, Syntactic Atomicity, and Word Plus
Jun Yashima
語形成におけるグローバル参照―スラヴ諸語の音交替を例に―
渡部直也
第II部 語彙意味論
語彙的アスペクトと意味表示について?―「しよる」「しとる」の用法に基づく考察―
磯野達也
項の削除と結果複合動詞
于 一楽
起点としての「に」の意味
小野尚之
動詞語義の階層的分類と自他対応
加藤恒昭
主観的形容詞の副詞用法―「面白く読む」と「面白く書く」―
杉岡洋子
日本語複合動詞の場所格交替
曹 瑞
放出動詞と項実現―英語とドイツ語の対照分析―
高橋亮介
受身文における事象制御性について―使役文と比較して―
外崎淑子
状態と均質性
畠山真一
「〜きる」と「完〜する」における消費量について
藤巻一真
状態変化動詞の「状態変化」について
前田宏太郎
英語の軽動詞構文における項の具現化―giveを主動詞とする場合を中心に―
由本陽子
「V1+V2」型複合動名詞の意味形成について―並列関係を表す複合語を中心に―
李 慧
第III部 統語論・意味論
Non-Local Use of the Japanese Excessive Marker sugi and Syntax-Semantics Interface
Wataru Uegaki
現代日本語の受身動詞について
上野義雄
「テアル構文」とその周辺に関する覚書
漆原朗子
日本語ECM構文の主語移動と移動のタイプ
岸本秀樹
A Non-Ellipsis-Containing Analysis of 'Ellipsis-Containing Antecedents'
Yusuke Kubota
中国語におけるスコープの非曖昧性
柴田奈津美
分裂文の派生と焦点要素について
下仮屋 翔
「価値がある」構文の統語的・意味的特徴
竹沢幸一・阿久澤弘陽
完了ではないテアルについて:島田・長野(2019)補遺
長野明子・島田雅晴
「は」の現代版「係り結び」現象と文タイプ
長谷川信子
日本語の「NらしいN」表現と「基準値」について
長谷部郁子
推量の助動詞「(し)そうだ」の意味的・統語的特徴
板東美智子
Selecting and Updating the Fuzziness of Adjectival Nouns and Verbal Nouns
Hiroto Hoshi
Verbal Nouns Are in Fact Verbs
Ichiro Yuhara
日本語と韓国語における述語の不完全性―情報伝達の観点から―
尹 盛熙
第IV部 心理言語学
The More Noun Phrases, the More Difficult: Japanese Children's Passive Comprehension
Megumi Ishikawa
Verb-Echo Answers in Child Japanese
Miwa Isobe and Reiko Okabe
形態論の計算認知神経科学に向けて
大関洋平
Lexical Integrity and Acquisition of N-N Compounds in Japanese: A Preliminary Study
Reiko Okabe and Miwa Isobe
複合形容詞への強調促音挿入における音韻効果と形態効果
近藤森音
The Prominence Degree of Word-Initial Pretonic Syllables with Full Vowels in English: An Introspective Rating Study
Mariko Sugahara
Unchanged Mandarin Tone 3 Sandhi as a Boundary Marker in Lexical Processing
Tzu-Yin Chen
Locality Effects in the Processing of Negative-Sensitive Adverbials in Japanese
Kentaro Nakatani
節比較構文の獲得におけるパラメター設定
服部亮祐
めがねケース、おやこくじら、そしてキルギスとかげ
広瀬友紀
L1英語の日本語学習者の話し言葉・書き言葉における名詞修飾表現―学習者コーパスI-JASに基づく分析―
堀内 仁
伊藤たかね先生 略歴と業績