北の街の英語教師
― 浜林生之助の生涯 ―
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編著者:
東博通 (著)
ISBNコード:
978-4-7589-2135-0
発売日:
2007年10月25日
定価:
3,080円(税込)(A5・300頁) |
内容
かつて小樽高等商業学校(現小樽商科大学)は、「小樽外国語学校」あるいは「北の外国語学校」の異名をとるほど外国語教育に力を入れていた。作家伊藤整は、「私のような生徒は、この学校で語学だけ学んだようなものである。」と述べている。その伊藤の忘れられない恩師の一人に浜林生之助がいた。浜林は伊藤が入学する2年前の大正9年に小樽高商に赴任し、昭和22年に亡くなるまで、約28年間にわたって高商(経専)の教壇に立ち、「語学の小樽高商」の名を高めた人物である。浜林は、「読む・書く・話す」三拍子揃った英学者であった。彼はその卓越した英語力と巧みな日本語能力を駆使して活発な著作活動を行い、英文学者として、また、有能な英語教師として周囲の人々に強い印象を残していった。伊藤整は彼のことを、「田舎の学校にひっそりと生きている傍流の学者で、しかもおそるべき実力を持っているという意味では典型的な人だった。」と書いている。本書は、北の街で教え、そこで生涯を終えたこの一人の英語教師の人物と業績を紹介するとともに、彼が生きた時代とその人々を描く。
目次
はしがき
第1章 英語との出会い
生い立ち
三重師範入学
広島高師へ
第2章 中学教員として
川内中学へ
『英語研究』への寄稿
福島中学から小樽高商へ
第3章 海を見下ろす学園
小樽高商の誕生
初代校長渡辺龍聖
創設期の英語科スタッフ
生之助の着任の頃
「小樽外国語学校」
生之助の著作活動
第4章 英国留学
留学を前に
英国まで
ロンドンの生活
文学巡礼の旅
妻の実家と留守中の家族たち
第5章 学園を支える人たち
留学を終えて
学園を取り巻く動静
伴から苫米地へ
英語教育への傾注
英語科の同僚たち
家庭での生之助
第6章 荒廃の中で
戦時下の生活
晩年の生之助
浜林生之助年譜
浜林生之助執筆目録
付録『英国まで―鹿島丸船中にて』
あとがき